「八十八ヶ所巡礼」の重要なシーンで流れる音楽を担当したバンド、その名もまた八十八ヶ所巡礼の略称は、「88」。
八十八ヶ所巡礼っていう言葉ができた頃、日本に未だアラビア数字は入ってきていなかったはず。なのに。
88
∞∞
昔の人は、想像しただろうか? 未来の日本に入ってくる異国の数字で、「八十八」をこんなふうに書くだなんて。
さりゆくものは、めぐる。向き合い、寄り添い、解き放たれて。
(牧村朝子/文筆家)
cakesで連載中「ハッピーエンドに殺されない」
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牧村さんと話しているといつも、私自身が自覚してない傷みたいなのを掘り起こしてくる。
そのたびに涙腺がゆるむ。人にどうしてそこまで繊細に接することができるんだろうと会うたび思う。
今何撮ってるの?という質問に、八十八ヶ所巡礼を撮影しています、と伝えると、
同じ名前のバンドが居るんだけど知ってる?わたし最高に好きなんだけど!と教えてもらい、
聴いてみると世界観にハマりすぎて映画で使用させていただきたい、とお願いすることに。
牧村さんが居なかったら。
ほたるさんに声をかけてもらわなければ。
山田芳美さんに出会わなければ。
私はここに居ないのだろうなぁ。
小野さやか