ほたるは罪な人だ。助監督として、監督として、ボクは主演である彼女に全く気を使ってきませんでした。橋から飛び降りてもらった時も相手役の俳優さんから断られても彼女にはそのまま飛び込んでもらいましたし…。どんな過酷な現場でも彼女はいつも紛うことなき「葉月螢」としてカメラの前に存在し続けてくれました。おかげで彼女のようなスタンスで映画に関わってくれない俳優さんにはすっかり物足りなさを感じるようになってしまいましたが…。どんなことでも受け入れてしまえる彼女の人間力はこの短編集でも遺憾なく発揮されていました。こんなバラバラな作品群を頓着なしにひとつにまとめてしまえるなんて! きっと誰も彼女に気なんて使ってなかったんじゃないでしょうか。じゃなきゃ、こんな鮮度のいい映像群が生まれるはずがない! 去り行くものたちなのにみんなピチピチしてる。全編見終わったら、なんだかバカ兄弟を見送るほたるさんの溌剌とした表情が浮かんできました。ある意味、ボクにとっては「兄嫁」の新作を見たようなウキウキした心持ちです。
―女池充(映画監督)
そうか、気を使われてなかったのか…w
橋から飛び降りてもらった時というのは「覗きがいっぱい 愛人の生下着」(本藤新名義のサトウトシキ監督作品)の撮影で、台本上は確かに川に飛び込むって書いてありましたが、相手役の方は泳げなかったので、断っていたような。
自分が1人飛び込むのは怖いから、先に誰か飛び込んでみてくださいって言って、女池さんにテストで飛び込んでもらったのです。
自分が入る時には、川の中、カメラの見えない位置に「兄嫁」の上野俊哉監督がいてくれて、飛び込んだ瞬間上下わからなくなってる自分の首元を掴んで引き上げてくれました。
今思えばなんて危ないことやってたんだ…若さって怖い。
女池さんたち、また面白そうなことをやってる…